思ったことなどいろいろ。

  • 告知について・・・
    入院していた病院の基本方針として、きちんと告知をすると聞いてたので驚きはしなかったし、
    元気そうに見える夫が目の前にいたから、その時は全く実感もなくいたけれど、
    夫はひとりになって病室でどう受け止めたんだろう・・・。でもはっきり告知していなければ、
    その後の抗がん剤治療や、検査・体調の変化の説明がつかなかったんじゃないかと思う。
  • 抗がん剤治療について・・・
    抗がん剤についてネットで色々検索してみたら、毒劇区分【毒】を見て、ぞっとした。
    抗がん剤をしている間は、確かに生きてるかもしれないけど、辛い時間が延びるだけではないか?・・・。
    見守るだけしかできない家族も本人と同じように辛いから、2クール目の抗がん剤はやってほしくないと
    思っていました。けれど私からは言えないから、夫が「これからは痛まない治療にする」と決めてくれて
    家族はほっとしました。
    (副作用に苦しんでる夫をみている間、自分達だけが食事を摂っているのが、
    後ろめたたく思った時期でした)
  • 緩和治療を決めた後も、体調が安定すると、もう一度抗がん剤治療をができるかもと思い、
    そのたびに先生や夫に言ってみようと思ったけれど、調子がいのは3日位で、またすぐに辛い状態になっていて、
    毎日、頻繁に吐いているのが3日続くと、もうダメなんじゃないかと何度も思いました。 
    面会に行くとくたくたで、ごはんを作る気力も出ませんでした。
  • 娘は以前から献血によく行ってたけれど、目の前でたくさんの血液が使われているのを見て、
    また献血に行きました。
    もっと頻繁に行きたいけど、400mlの献血で2〜4ヶ月に1回しかできないんだよね・・・と言ってました。
  • 余命1ヶ月と言われた時、長女は臨月に入り「あと1ヶ月で産まれる」という時だったので、2〜3日言えず、
    このまま黙っていようかと思ったけれど、話のつじつまが合わなくなってしまい、長女に伝え、数日後、
    次女に「言ってなかったっけ?」と言うと「私、聞いてないよ!聞いてたら遠出してないよ!」と言われてしました。
  • 気力・・・というのはある時は薬以上の力があるようで、8/21に外出して二人目の孫を見てから、
    「もう少し生きていたい」と言ってた通りに、「余命1ヶ月」と言われた時期を過ぎると、
    週末の外出の時間が増え、外泊ができるようになり、悪いながらも、このままの状態が続いていければいいなと
    思っていました。
    自宅療養にすると決めてからは、摂取の水分も急に増え、夫はあまり言わなかったけど、
    家に帰れるのをすごく楽しみにしていたようです。                               
  • 自宅療養・・・
    私の中では自宅療養という選択肢があるということさえ皆無だったから、とても不安なまま始まりましたが、
    実際家で過ごしてみると、夫は病院にいる時のような弱音を吐く事もなくなり、とても安定しているように
    見えました。家にいるだけで薬以上の効果があるようです。
    私にとっても1日3回病院に行ってた時は、必要な買い物をする時間を作るのも大変だったのが、
    顔を見ながら様子を見ながら家事ができるし、看護師さんが来てくれてる時は自分の時間がとれ、
    ずっと気になってたあちこちの掃除もできました。

    ある日、いつものように「(犬の)散歩に行ってくるね」と言うと、1度だけ夫は「いいなぁ・・・」と。
    柴犬・チョコが我が家に来てから、6年、毎朝の散歩担当だったからね。。。
    そのチョコは毎日決まった時間ではなかったけれど、1日1回位しっぽを振りながら夫が寝ている
    ベッドの側に行き、夫に顔を撫でまわわれていました。病気になる前はすぐにガゥ〜!と怒ってたけれど、
    決して怒ることなく夫が満足するまで撫で回されていました。
    トイプードルのひめは、元気な時は一緒に寝ていたけれど、夫の体力が無くなってしまっていたので、
    夫のベッドに乗るのを禁止し、隣のベッドで寝るようにさせました。
    夫が横を向いて手を伸ばすたびに、隣のベッドから夫の手をペロペロ舐めていました。               
  • 徐々に動けなくなって、自宅療養になった10月には、「介護5」の認定でした。
    訪問看護師さんに、おむつ交換・ベッドの上での移動、車椅子の移乗、シーツの取り替え方などなど、
    たくさん教えていただきました。 
  • 闘病中は、できるだけいつもの顔で、普通の会話。お互い涙は見せなかった。
    子どもたちも病気になる前と同じように接していました。それは、
    急にびっくりするほど優しくして、もしそれですぐに逝ってしまったらと思うと恐かったから・・・。
  • 先にお別れがくるのは、お互い分っていたけど、人生を締めくくるような会話はしなかったし、出来なかった。
    お別れはまだまだずっと先だと思いたかった。
  • 痛みも少なく安定した状態で、最期の日まで話もできて、最期の時までそばにいられて、
    夫にとっても、私たち家族にとっても自宅で過ごせてほんとによかったと思います。
  • ありがとう・・・本当にありがとう・・・。
    病気がわかってから、まずこの先迷惑をかけるかもしれないと職場の同僚・上司に伝えると、
    泣きながら心配して下さり、闘病中は、夫を優先にできるようにと、仕事のフォローをしてくれ、
    見守っていただいたおかげで、仕事を続けながら看る事ができました。
    友人・親戚・近所の方・病院関係の方・訪問看護の方々・・・
    みなさん夫だけでなく私の心と体も心配してくださり、暖かい心遣いをたくさんたくさんいただきました。

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読んだ絵本(娘からのプレゼント)

  • 「葉っぱのフレディ」
    春に生まれた葉っぱのフレディが、自分という存在に気づき、成長し、「葉っぱに生まれてよかったな」と思い、
    「葉っぱの仕事」を終えて冬に土へとかえっていくまでの物語。
    「生まれること」「変化すること」が「永遠の命」へとつながる意味を、教えてくれる本です。

    私は夫が入院中に、この本を何度も何度も読み、
    いずれ来てしまう「死」を受け入れようとしたり、理解しようとしたけれど、
    どんなに弱っていてもやはり死を受け入れるのは、とても残酷でむずかしいと思い、
    夫にには見せられませんでした。
  • 「The Giving Tree」
    大好きなちびっこのために与え続けるりんごの木。
    実や枝、そして幹さえも与えて最後は切り株だけになってしまう。
    やがてかつてのちびっこは老人となって、腰を下ろして休める静かな場所を求めて戻ってくるという物語。

    英語バージョンだったので、娘に翻訳してもらって読みました。とても意味深くむずかしいんだけれど、
    何度も読みたくなる本でした。 

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